就職活動や転職活動の準備を進めていく中で、「海外で働いてみたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。
インターネットでも海外就職に関する記事や、就労者の体験談なども目にする機会が増えてきました。
とはいえ、海外留学よりもハードルが高いイメージもあるかもしれません。
この記事では、日本と海外の就職活動の違いから、取っておくと就職に有利になる資格まで紹介しています。
ぜひ最後まで読んでくださいね!
就職活動、日本と海外の3つの違い
就職活動と一言で言っても、実は日本と海外では大きく異なります。
ここでは、その主な違いを3つ解説します。
就職活動の開始時期
日本では新卒、第二新卒、中途のように採用者枠が分けられています。
特に新卒枠は重要で、4年制大学の場合、就職活動の準備は大学3年生の新学期からスタートするのが理想的です。
一方、海外では「新卒の一括採用」という考えはなく、就職活動の開始時期もありません。
そのため時期を問わず、希望する職種や企業に入社できるように学生自身が事前に調べて、それに必要な資格やスキルを準備していきます。
企業側も必要な人材を一年中募集しているので、双方のタイミングがあった時点で採用が決定されます。
面接方法
日本ではリクルートスーツ姿で面接を受けるのが一般的ですが、海外では面接時の服装には決まりはないため、清潔感のある格好であれば問題ありません。
また日本では、「面接室に入る際に、ドアを3回ノックする」「一礼をする」などの「礼儀」が重要視される傾向がありますが、海外では「能力、スキル、経験」が重要視されるため、最低限のあいさつや質問に対してきちんと答えられれば、守らなければならない礼儀やマナーはありません。
新卒者に求めるもの
日本企業は新卒者に対して、これから社員として働いてもらうために、真面目さや素直さ、そして他者との協調性を持っているかを重視する傾向があります。
海外企業の場合、新卒者や中途採用を問わず、即戦力を求めています。
そのため、新卒者であってもスキルや実績が重要視されるのです。
海外就職をしたいと思ったらまずやること!
海外で仕事を見つけるためには、事前の準備が大切です。
とはいえ「やることが多くて、何から始めていいかよくわからない!」という方のために、具体的な準備方法をまとめました。
まずは職種を決める
「海外で働けるなら、なんでもやる」!という方もいらっしゃると思いますが、まずは自分が就きたい職種を決めることから始めましょう。
海外企業へ就職するのは簡単にできるものではありません。
やりたいことがわからないまま就職活動をしていると、途中で挫折してしまいます。
そのため、できるだけ目標や目的を明確にしておくことが大切です。
何がやりたいかはっきりしない場合は、専攻している・していた分野や、「好き」「得意なこと」から広げていくのも一つの方法です。
行きたい国を決める
職種が決まったら、次はどの国へ行くかリサーチしてみましょう。
希望の職種の関連企業を調べるだけでなく、治安、物価、ビザ申請の条件など、できるだけ詳しく調べておくことで、海外就職に向けて何を用意すれば良いかが明白になっていきます。
必要な資格や資金を用意する
職種、そして渡航先が決まったら、就職活動に必要な資格や資金を用意しましょう。
英語力は必ず必要になります。
現地では、日常生活や仕事、同僚や顧客とのコミュニケーションも全て英語で行います。
英語力に自信がない方は、独学、英会話教室に通う、語学留学をするなど、本格的に就職活動を始める前にできる限り語学レベルを上げる努力が必要です。
また、就職が決まっていても、最初給料が支払われるまでの間の生活費を用意する必要があります。
急に事故に巻き込まれたり体調を崩した時のために、3カ月間収入がなくても生活できるくらいの費用は用意しておいてください。
求人に応募する
職種、渡航先、必要な資格や資金が用意できたら、いよいよ求人に応募してみましょう。
日本の就職活動と同様に、まずは、インターネットで求人情報を調べ、自分の興味がある企業に直接申し込みます。
まずは履歴書やモチベーションレターの書類審査があります。
審査に通ると、企業の人事担当者から連絡があります。
この時のやりとりはもちろん英語で行われ、働くレベルの語学力があるかを判断されます。
そのため、スムーズに対応できるように準備しておく必要があります。
海外で役立つ英語資格【IELTS】
英語資格といえば、英検やTOEICを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
実は、これらの資格は英語力を証明として海外の企業や大学では認知されていないのです。
また、TOEFLは海外で強いと言われますが、基本的にアメリカの大学・大学院へ進学する際に必要な資格です。
海外就職だけでなく将来移住を目指す方は、IELTSを受験することをお勧めします。
IELTSとは
IELTS(International English Language Testing System)は、英国国際文化交流機関ブリティッシュカウンシル、1209年に設立された世界で最古の大学の一つケンブリッジ大学、そしてオーストラリアの首都メルボルンに本社を構える国際教育サービスセンターIDP(International Development Program)の3団体が共同開発している英語資格試験です。
スコアは1.0から9.0のバンドスコアで0.5刻みごとに評価されます。
IELTSの種類
IELTSは、ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの4つのスキルを測る試験です。
アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールの2種類に分かれており、個々の目的に合わせて選ぶことができます。
アカデミック・モジュール
アカデミック・モジュールは、高等教育機関に入学可能な英語力を測る試験です。
イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの専門学校、カレッジ、大学、大学院へ留学するためには、このアカデミック・モジュールのスコアが入学基準に達していることが条件です。
もちろん、アメリカの高等教育機関へ進学する場合にもアカデミック・モジュールのスコアは有効になります。
ジェネラル・トレーニング・モジュール
ジェネラル・トレーニング・モジュールは、海外で仕事ができる英語レベルを証明するための資格です。
日常・ビジネス英語が中心の試験内容になっており、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドへの永住申請をする際にも、このモジュールのスコアが必要です。
試験内容
IELTSの試験は、ペーパー版とコンピューター版の2つの方法から選ぶことができます。
試験日程 | ペーパー版は月に4回、コンピューター版は月に10回 |
試験会場 | ペーパー版は全国15都道府県で実施、コンピューター版は東京と大阪のみ、海外での受験が可能 |
検定料 | 25380円 |
試験時間 | 約3時間 |
結果 | 合格・不合格はなく、取得したスコアで評価されます |
以上は2022年10月の情報です。
予告なしで変わることがあるので、受験前に必ずIELTS公式サイトで内容を確認しましょう。
スコア基準
国内の外資系企業・海外就職を目指す方、移住を考えている方は、海外大学入学の条件にもなっている6.0〜6.5くらいをめどに取得しておくようにしましょう。
IELTSのスコアの有効期限は2年ですので、スコア提出が必要になる日程を逆算して受験することが大切です。
海外企業で働くための英語力は?
基本的に海外で就職活動をする場合、英語資格の提示は必須ではありません。
人事担当者とのメールや面接時に話すやり取りで、企業で働くレベルの英語力があるかを判断されます。
事前の書類審査でアピールするために、英語試験のスコアや海外留学で学位・資格をとっておくことは大切です。
特に帰国子女など英語で教育を受けたことがない方や留学経験のない方は、海外に通用する資格を積極的に取得して英語力を証明するようにしましょう。
英語力+α!
海外企業の求人へ応募する際に、履歴書などの必要書類を提出します。
ただし、世界中から送られてく書類の中から選ばれなければ面接など、次のステップに進むことはできません。
そのため、他の候補者に差をつける対策として英語力+αを意識して準備することで、「海外で仕事をする」という目標へ一歩近づくことができます。
ここでは「+α」を得るための方法を紹介していきます。
海外生活の経験
まず、前提として海外生活の経験の必要性について考えてみましょう。
海外で働く場合、仕事をしながら現地で生活をしなければなりません。
観光旅行とは異なり、部屋探しから買い物まで全て自分でこなさなければなりません。
また、海外生活自体が合わない方も少なくないのが現実です。
そのため、せっかく海外企業に就職できたとしても、生活が続けられなくなり数カ月で帰国してしまうというケースもあります。
短期間でも良いので就職活動をする前に一度は海外で生活するという経験をし、自分に合うかどうか見極めてみる必要があります。
ワーキングホリデー
ワーキングホリデー制度(以下、ワーホリ)とは、30歳未満の方であれば英語力を問わずに誰でも参加することができる滞在システムです。
「ワーホリ=アルバイトをしながら遊んでいる」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、アルバイトを通じて、そのまま現地で正社員になる方も少なくありません。
事前に目的をはっきりさせておくことで、現地で仕事ができるという機会を活用し、海外就職に有利になる就労経験を得ることができます。
語学留学
1週間から参加できる語学留学は学歴や年齢制限もないので、誰でも気軽に海外生活を経験できる方法の一つです。
英語力を向上させることを目的に、世界中から集まってきた学生との交流や海外で生活するという経験を通して、日本に住んでいるだけではなかなか身につかない国際性、多様性、自主性なども得ることができます。
また、半年以上の長期留学が可能な場合は、フラワーアレンジメントや料理、サマー・ウィンタースポーツなどの授業を設けている語学学校を選ぶことで、英語力+αを得ることができます。
海外大学
本気で海外就職を目指す方に支持されている留学方法が海外大学への進学です。
入学の際にある程度の英語力が必要です。
そのため、ワーホリや語学留学と比べると、少しハードルが高くなりますが、専門分野の学位と十分な英語力を証明できるため就職活動の際に圧倒的に有利になります。
最短でも留学期間は2年からですが、海外は日本人が思っている以上に「学歴社会」です。
職種や企業によっては、大卒以上の学歴を求めるところも少なくありません。
また近年、コンコーディア国際大学などのオンライン授業を活用しながら学べるシステムもあるので、海外大学に挑戦できる可能性も増えています。
海外インターン
海外の就職活動で有利になるスキルとして「就労」経験が欲しい方に人気なのが、海外インターンです。
国によっては2週間から短期間で参加できるものもあり、将来海外企業への転職やキャリアアップを目指している社会人の方も有給休暇などを利用して参加しています。
基本的に英語を使った勤務になるのである程度の英語力が必要になりますが、「海外就労」の経験は就職活動をする上で有効なスキルとなります。
Co-op留学
今、現役の大学生や社会人に注目を集めているCo-op(コープ)留学。
専門分野の学習と就労期間が一緒になったカナダだけの特別留学プログラムで、なんと最短6カ月で、各種専門分野の修了証明書や政府認定の資格を取ることができます。
ワーキングホリデーのように参加に年齢制限がないため、30歳以上の方も参加していただけます。
学べる専門分野も国際ビジネス、ホスピタリティ、IT、医療アシスタント、メイクアップ、カスタマーサービスなど幅広いのが特徴です。
さらに、現地企業での有給インターンがプログラムに組み込まれているため、プログラム終了と同時に「職歴」も得ることができます。
また、現地で収入を得ることができるので、他の留学方法に比べ費用を抑えることができる利点もあります。
Co-op留学をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください!
日本でできる準備
留学する時間がない!
とことん費用を節約したい!
という方は、将来の海外就職の準備として英語の学習のほかに、専門分野の資格を身につけておきましょう。
海外企業は「即戦力」を求めているので、職種によっては学歴に関係なく技能やキャリアがあることによって採用されるケースもあります。
ここでは、海外就職活動に役立つ日本で準備可能な2つの資格を例にとって解説します。
調理師免許
十数年前から続いている海外での「日本食ブーム」。
今ではスタンダード料理になり、世界中に日本食レストランがあります。
そのため、日本食部門を抱えている海外飲食企業は、日本で和食料理人としてキャリアがある方を随時募集しています。
英語が話せ、職務経験がある調理師免許取得者は、世界のどこへ行っても就職できる可能性が高いのです。
MBA
日本国内でも取得できる国際資格の一つ、MBA(Master of business administration)。
ビジネススクールの修士号のことを指している資格で、経営学修士とも言われています。
海外企業や日本の外資系企業のほとんどがMBA取得者=経営全般に知識をもった人材とみなしています。
そのため、就職活動に大変有利に働く資格の一つですので、国際ビジネスシーンで活躍したい方は必須の資格と言えます。
まとめ:海外就職したい人のために!おすすめの英語資格と+α
海外で働いてみたいという方のために、この記事では海外の就職活動で有利になるおすすめの英語資格と+αを紹介してきました。
まとめは以下の通りです。
- 就職活動、日本と海外の3つの違い:就職活動の開始時期、面接方法、新卒者に求めるもの
- 海外就職をしたいと思ったらまずやること!:まずは職種を決める、行きたい国を決める、必要な資格や資金を用意する、求人に応募する
- 海外で役立つ英語資格【IELTS】:IELTSとは、IELTSの種類、試験内容、スコア基準
- 海外企業で働くための英語力は?
- 英語力+α!:海外生活の経験、ワーキングホリデー、語学留学、海外大学、海外インターン、Co-op留学、日本でできる準備
決して簡単ではありませんが、事前の準備とタイミングで夢の実現も可能です。
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