概要
- 自己紹介
- 渡航前の体験談
- 日本の高校・短大に行くきっかけは?
- 渡航後の体験談
- シンガポールと日本の学校の違いは?
- 日本の高校・短大で一番印象に残っていることは?
- シンガポールに戻るきっかけは?
- 仕事の探し方は?
- シンガポールでの生活スタイルは?
- 休日の過ごし方は?
- シンガポールと日本の仕事の違いは?
- シンガポールで働く上での注意点は?
- 食事以外で気をつけることは?
- 生理用品について
- 現地で流行っていることは?
- シンガポールの魅力は?
- みささんからメッセージ
- シンガポール留学や仕事をしようか迷っている人へ
- 海外に興味のない人へ
自己紹介
氏名:宮川 光彩
出身:マレーシア生まれ、シンガポール育ち(日本国籍)
現在の滞在先:シンガポール
経歴:両親の仕事の関係でマレーシアで生まれ、その後、小・中学校はシンガポールのインターナショナルスクールで学び、高校・短大は日本へ単身で逆留学。卒業後はシンガポールに戻り就職。2013年からはフリーランスでイベントの司会や通訳の仕事をしている。
~インタビュー形式~
ー まずは、簡単に自己紹介をお願いします。
みなさん、こんにちは。ミヤガワミサと申します。
マレーシアで生まれ、人生のほとんどをシンガポールで過ごしています。
日本へは一人で逆留学のような形で高校から短大卒業まで過ごし、両親の住むシンガポールに戻って就職し、その後フリーランスになりました。シンガポールには合計22年程ほど住んでいます。
渡航前の体験談
ー ありがとうございます。今回は、シンガポールでの生活や仕事についてインタビューしていきたいと思います。その前に小・中学校はシンガポールの学校に通っていたのに、高校・短大は日本に行こうと思ったきっかけはなんですか?
今でこそシンガポールはキラキラして、おしゃれなイメージがあると思いますが、私が小・中学校の頃は全然おしゃれなお店や物がなく、当時は日本への憧れがありました。
私は小学校の3年生までは日本に住んでいたので、日本の本や雑誌、漫画が大好きで、中学校の時はギャルに憧れていました(笑)
日本のギャルがかわいくて・・・!おしゃれな物がないシンガポールに比べ、日本のキラキラしたおしゃれな女の子やカルチャーにとても憧れがあり、ギャルになりたい!と日本に単身で逆留学の形で行きました。
親元を離れて寮に入ったのですが、寮も高校もとても厳しかったため、結局髪も染められず、スカートも短くできませんでした。
でも、学校生活はとても楽しかったです!
渡航後の体験談
ー 意外な理由で驚きました(笑)
ー シンガポールの学校と日本の学校に通っていたという事ですが、違いはありましたか?
私は小学校4年生から中学校まで過ごしたのはインターナショナルスクールで、現地の学校とはまた全然違うので一概には言えませんが・・・。
私が通っていた学校はイギリス式のスタイルだったのですが、当時の校長先生の方針がとても自由な学校でしたね。
例えば日本では先生が前で話して、生徒が座って聞く座学スタイルが定番ですが、私の学校では科目ごとに教室が変わり、先生が変わると机の並び方も変わって、机なしで床に座って話したり、コの字型に座ったり・・・。
歴史の授業なのに、ディベートをしたりもしました。
また音楽や美術の授業でも”スキット”と言って、「ちょっと今からゴッホの気持ちになって寸劇をしてみましょう」など日本にはあまりない形で学ぶこともありました。
20年くらい前の話ですが、当時から学校でパソコンを使うことも多く、小学校の頃から自分でリサーチし、パワポでプレゼンを作り、人前で発表をすることもありました。
自分の意見をきちんと発言しないと成績に反映されるので、授業もみんな必死に手を挙げます。
日本の高校に行った時には、「分かる人?」と先生に聞かれて、「ハイ!」と元気よく手を挙げたら、逆にドン引きされました。初めてのカルチャーショックです(笑)
ー 確かに日本とは授業スタイルがまったく違いますね。シンガポールは参加型スタイルですね。
ー では、日本の高校、短大に通っていた時に一番印象に残っていることはありますか?
私は日本の文化に憧れていたので、シンガポールでも日本の雑誌やドラマを見ていたので、日本の事は全てわかっていると思いこんでいました。
大阪の高校だったのですが、みんなフレンドリーで、海外出身と言うと、「おもろいなー!」と言ってくれてすぐに友達もできました。
でもある日突然、仲の良い友達の1人が思いつめた感じで、「ほんまごめん、私、スキンシップ苦手やねん・・・!」と言われた時は、知らずに嫌な思いをさせてしまっていたことがショックでした。
私は無意識にハグ等していたので、このことで、スキンシップが苦手な人もいるし、慣れていない人もいるということに気づき、以後気をつける様にしました。
ー 日本では高校生で挨拶の時にハグしないですからね。
ー 短大を卒業して、シンガポールに戻ろうと思ったきっかけはなんですか?
短大を卒業してからは、当初日本で就職をしようと思っていましたが、当時は就職氷河期で非常に難しく、書類審査だけで落とされてしまうことも多くありました。
日本で仕事を探すのは難しいと感じ両親のいるシンガポールに戻って就職することにしました。
私は中学時代に家族でシンガポールの永住権を取得しており、就労ビザが不要だったので、日本よりかは就職しやすいと考えたからです。
ー 仕事はどのように探しましたか?
父が人材系の仕事をしていたこともあったため、相談すると、まずは日系の人材会社に登録してみるように言われました。
何社か登録してから、希望の内容を伝え、いくつか仕事を紹介してもらえました。
当時は新卒で就労経験もありませんでしたが、永住権があり、シンガポールに昔から住んでいて、英語が話せる、というのが強みになったようです。
ー 就職方法は日本とほぼ同じなんですね。就職サイトに登録して、探す方法ですね。
そうですね。
日系の人材会社だとJACさんやパソナさんなど、他にもたくさんあります。
それぞれ業種によって強みが違うので、自分の行きたい業種や職種によって選ぶと良いかもしれません。
また新卒だと難しいかもしれませんが、例えば留学や海外での仕事の経験があれば、日本ではあまり使われていないと思いますが、LinkedIn(リンクトイン、Business特化型SNS)に自分のプロフィールや職歴を載せて、スカウトを待つ方法もあります。
ー そうなんですね。そういうサイトがあるんですね。日本では企業説明会に参加するのが主流です。
シンガポールには、日本のように黒いスーツを着て、企業説明会に参加して、同じ時期に雇用されるという、いわゆる就活というものはないですね。
ー 面白い光景ですよね。海外に留学する人が一番心配する事がどのタイミングで就職するかで、とても質問が多いです。
日本の場合は、卒業後就職するタイミングがほぼ同じなので、遅れたら私だけ違う!と不安になりますよね。シンガポールでは、学校卒業後もそれぞれ大学院に進んだり、留学したり、インターンを経たりするので、仕事をはじめるタイミングがバラバラなのは当たり前で、気にする事はあまりないですね。
逆に人とは違う経験があった方が、企業側にアピールができ、雇ってもらえる可能性が高いので、ほとんどの人がインターンもしています。
ー やはりインターンをするんですね。インターンは卒業後にしますか?それとも卒業前ですか?
ほとんどの人は在学中や卒業後にアルバイト感覚で行っている方が多いようです。
日系企業では若い人の意見を聞きたいということもあり、インターンを受け入れている会社も増えました。
ー そうなんですね。ありがとうございます。では、シンガポールでの生活スタイルを教えてください。
私の本業は、フリーランスでイベントのバイリンガル司会、その他にも通訳や自治体のPRの仕事など色々やっています。
そのため、会社員の方とは生活スタイルが違うので、あまり参考にはならないかもしれませが・・・。
イベントの仕事がある日は現場に出向いて仕事をしますが、原稿の作成や翻訳などのデスクワークは基本、家でしています。
今はコロナ禍ということで、イベントもオンラインのものが多くなりました。
ー 休みの日はどんな風に過ごしていますか?
シンガポールは旅行がしやすい国で、近隣国のタイ、マレーシア、インドネシアなどへは数時間のフライトで行けます。
日本でいう国内旅行の感覚で、渡航費も安いので、週末や3連休などを利用してコロナ前には友達とよく海外旅行していました。
最近は、海外へは行けないので、シンガポール国内の公園でハイキングしたり、友達と外食したり、お酒を飲んだりすることがほとんどですね。
ー すぐに別の国に行けるのは良いですね。では仕事をする上で日本とシンガポールの違いはありますか?
海外で働く上ではやはり、どこでもビザの問題がありますね。
シンガポールの就労ビザを取得する条件が年々厳しくなっていて、卒業した大学や職歴にもよりますが、規定では、最低賃金が4000ドルくらい(日本円で38万円くらい)ないとビザが下りなかったりします。(注:条件内容は定期的に更新されます)
新卒で仕事を探すのは、正直かなり厳しくなっていますが、海外での留学やインターンの経験があれば可能性は高まると思います。
シンガポールの働く環境は、業種にもよるかと思いますが、日本に比べるとストレスが少ないと感じています。
国が小さいので、通勤時間も長くて片道1時間くらいですしね。
通勤ラッシュも一応ありますが、東京などと比べると普通ですね。
遅刻はよくないですが、やはり南国なので多少遅刻してもそこまでは怒られません(笑)
ー それは嬉しいですね。
シンガポールではゲリラ豪雨が多いので、「雨だから動けないので遅刻します!」という理由が通ってしまいます(笑)
ー 素敵ですね。シンガポールで働く上で人間関係など気をつけておくことはありますか?
そうですね。やはりシンガポールはダイバーシティのある国なので、色々な人種、宗教の人がいます。
日本から来ると慣れない部分もあって、驚くかもしれません。例えばヒジャブをしている女性がたくさんいますし、ヒンドゥー教の人は色んな種類のターバンを巻いています。
食事も豚肉が食べられない、お酒が飲めないハラレなど他にも宗教的に口にできない物がある方もいるので、一緒に食事に行く時は気を遣うのがマナーです。
宗教的理由以外にもビーガンやベジタリアンの方なども多くいて、それぞれの方をリスペクトして、合わせたりする必要があります。
食事以外でも、相手に失礼になってしまうといけないので、事前に色々な国や宗教の文化や慣習を調べて学ぶことも必要ですね。
ー シンガポールで生活する上で食事以外に治安や法律面など気をつけることはありますか?
私は、シンガポールの治安は日本より良いと思います。
犯罪率も低く、日本ほど変な人もいないし、痴漢とかもほとんどないですね。
ー いいですね。
シンガポールは法律がとても厳しいですし、街の至る所に国が管理している監視カメラがあります。
犯罪をした人はすぐ捕まっていますね。
ー それは日本より治安が良いですね。
夜に歩いていても全然怖くないし、明るい場所が多いです。
それでも女性は気をつけた方がいいですけどね。
気をつけることと言えば、物価が非常に高いということですね。
シンガポールはニューヨークや香港を抜いて、世界で最も物価が高い国に認定されてしまったことがあるくらいです。
特に家賃が高く、例えば私の友人は3人でルームシェアしていますが、トイレ・バスルームが共同でも一人8万円くらい払っています。
ー 高いですね!
コンドミニアム等は高級なので、例えば都心部だと安くてもワンルームの部屋の家賃が20万円くらいします。
ほとんどの現地の方はHDB(Housing Development Boardーいわゆる日本でいう国営団地)に住んでいます。
日本の団地のイメージと違い、綺麗で広い所が多いです。
外国人も借りることができますが、それでも2LDKで15~20万円は毎月かかりますね。
もちろん場所にもよりますが、家賃については事前に調べた方がよいです。
シンガポールでは食材も輸入品がほとんどなので、とても高いです。
自炊しても逆に食費が高くなることもあるので、現地の物価をしっかり調べて経済面に無理がないかを考慮することも重要ですね。
ー 確かにそうですね。物価が高い分、給料は高いですか?
業種や持っているスキルにもよります。
日本人がシンガポールで働く場合は、まず就労ビザを国から取得するために高い賃金を会社に設定してもらう必要があるので、日本で働くよりは高いお給料がもらえることはあると思います。
海外では「日本人である」「日本語が話せる」というだけでも強みになることもあります。もちろん現地の言葉は知っている方がいいですが。
事前に日系の人材会社のエージェントに、自分の持っているスキルや経験でどんな事ができるか、相談すると良いと思います。
今はメールやzoomなどでも相談できる時代ですしね。
ー そうなんですね。ありがとうございます。
ー 次にシンガポールの生理用品事情を教えてください。
シンガポールでは生理用品は何でもあります。
生理用品だけでなく、日本のもので手に入らない物はほぼ無いと言えます。
日系のスーパーも沢山ありますし、最近日本のドン・キホーテが進出してきて、(現地ではDON DON Donkiという名前)日本とは違ったコンセプトで、生鮮や生活用品をメインに格安で販売していて、とても助かっています。
生理用品も日本の最新の商品などが売っています。
私の家の近所のローカルスーパーや薬局でも日本のブランドのナプキンやタンポンも売っていますよ。
最近では環境に優しい生理ショーツや生理カップなども流行っています。
なんでも手に入るので、女性は安心していいと思います。
ー 日本から持っていく必要はなさそうですね。ちなみに日本製ではなく、シンガポール製の物はありますか?
シンガポール製のものは恐らくないと思います。
ー そうすると日本製か中国製ですか?
今、手元にある日本ブランドのナプキンには・・・「Made in Thailand(タイ製)」と書いてありますね。
恐らくブランドのライセンスは日本で、生産しているのはタイの工場みたいですね。
でも、品質などは全く問題ないです。
ー 生活する上では大きな問題はなさそうですね。最近、現地で流行っていることはありますか?
今は、コロナの影響で海外旅行に行けないので、シンガポール国内のホテルに泊まってリゾート気分を味わう「ステイケーション」が流行っています。
Stay+Vacationを組み合わせた言葉で、海外旅行に行けないストレスを発散するには最高ですね。
静かにプールサイドでカクテルを飲んだり・・・、綺麗な部屋でのんびりして非日常を楽しんでいます。
ー 地元の方は安く泊まれる特典などはありますか?
シンガポール国民の方はあるようですが、残念ながら外国人向けにはありませんでした。
ー 日本には国内旅行を推進するために、Go To トラベルという制度があり、ホテルなど少し安く泊まれました。
シンガポール人の方は確か補助金が出て、ホテルに宿泊したり、テーマパークに行ける制度がありました。
外国人だと使えない特典だったので、私がステイケーションをした際はなるべく最安値で泊まれるようネットで色々と探しました。
ー そうなんですね。色々話を聞かせてもらいましたが、実際に生活してみて、シンガポールの魅力はなんですか?
マリーナベイサンズやキラキラしたレストランなど、今でこそバブリーなイメージが強いシンガポールですが、昔から住んでいる私にとっての魅力は、とにかく現地の人の穏やかさですね。
沖縄の言葉で「なんくるないさー」という言葉がありますよね。
シンガポールでは「ネバーマインラー(Never Mind Lah)」という言葉があって、現地の方がよく使います。
「なんとでもなるよ~大丈夫~」というニュアンスで、ちょっとくらい失敗しても大丈夫、次に頑張ればいいというおおらかな雰囲気があります。
日本では失敗しちゃいけない!というプレッシャーやストレスが、学校でも職場でも強い傾向がありますよね。
シンガポール人は基本せっかちですが(笑)、おおらかな人が多いです。
とにかく人に優しい国なので、困っていても、助けてくれる人が沢山います。
私はそういう所が好きです。
みささんからメッセージ
ー 素敵ですね。働く環境としては良いですね。今、シンガポールに留学や働きたいという方も多いですが、そういう人達にメッセージをお願いします。
留学を考えている方へ:
シンガポールは英語を伸ばすにはもちろん良い環境ですし、中国語やマレー語など他の色々な言語も勉強できます。
る人種のるつぼで、様々な文化が混ざった様子も面白く、とても刺激になると思います。
是非、色んな国の方と友達になってみてくださいね!
働きたいと考えている方へ:
ビザや物価など現実的なこともありますが、シンガポールでは日本にはないチャンスがあると思います。
私も新卒でスキルや経験があまり無かった時ですら、色々な挑戦をさせていただく機会をいただき、成長することができました。
アジア本社なども多くあり、グローバルな仕事ができます。
世界を舞台に活躍したいと思っている方にはとてもおすすめです!
ー ありがとうございます。最後になりますが、海外に興味のない人へのメッセージもお願いします。
海外に興味がない方は・・・色々な理由があるでしょうね。
海外は治安が悪そう、言葉が通じなかったり、文化が違うことが怖い、など色々とあるかと思いますが、シンガポールは日本人も多く住んでいるので、海外に抵抗感がある人には挑戦しやすい国だと思います。
日本の物は食品も生活用品もほとんど手に入りますし、日本食レストランも多いので、食べ物でのホームシックにはなりませんよ!
日本人のコミュニティでも、色んな方が助け合っています。
ゆったりして穏やかで、なおかつ刺激もたくさんある楽しい国なので、まずは旅行で来てみてください。
シンガポールから、海外の魅力にハマるかもしれませんよ!
ー ありがとうございます。今回のインタビューではシンガポールのリアルな話がたくさん聞けました。